基礎の構造計算

こんにちは。

基礎工事が始まりました。
配筋検査をしてからコンクリート
打設していきました。


基礎については以前からも
申し上げておりますが、
構造計算をしております。


基礎の鉄筋太さや配筋ピッチなどは
管理者が勘や配筋表というような
簡易に決めているところが
多く、明確な基準がないのが
実情です。


建築基準法ではコンクリート
かぶり厚さや重ね継ぎ手長さ等の
仕様規定はしているのですが、
鉄筋のピッチは管理者の裁量です。


建物の耐震性3を確保するのは
これからは必須になるのは
もちろんですが、基礎についても
その耐震性を担保できるだけの
基礎構造が必要なのは言うまでも
ありません。

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弊社では立ち上がりの
コンクリート厚みを
15センチとしております。


これはコンクリート
鉄筋からのかぶり厚さを
土に接する部分は6センチ以上
建築基準法で規定されています)
確保するためにそうしています。


立ち上がりのコンクリート
12センチだと鉄筋の太さが
13mmだとすると
建築基準法で定められている
土に接する部分の
コンクリートのかぶり厚さを
6センチ以上確保できないからです。


意外とこうしたことが
できていない場合が
あるので注意が必要です。


また、写真では分かりにくい
ですが、床下の点検時に
人が通る部分を
人通口といいますが、
その部分を補強するために
底部の鉄筋を通常200㎜
ピッチのところを100㎜の
ピッチとしております。


こうした鉄筋の配筋を
図面上に表すためには
やはり基礎の構造計算が
必要になってくる訳です。



また、ホールダウン金物の
引き抜き耐力の計算などは
建物の構造計算をしないと
明確には出てこない数値なので
建物も構造計算が必要なのです。



木造の2F建てでは法律上
こうした構造計算は
除外規定とされているので
一般的には浸透していません。



下記の写真は構造計算した
場合の建物の重心と剛心が
ほぼ近くにあるため、
建物がねじれを起こしにくい
というのがわかります。

 

 

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重心Gと剛心Kは密接に
関わってまして
地震力は重心にかかります。
また、地震時の水平力は
建物の固さの中心である
剛心を中心に回り始めるので
重心と剛心の距離が大きいほど
建物によっては過大な
変形を強いられる
部材が出てきます。



重心と剛心の考え方から
偏心率という数値があるのですが、
この数値が0.15以下を
推奨しています。


この建物の場合、地震用おいては
1FのX方向で0.1という数値です。
他にも1FのY方向、
2FのX方向、Y方向と
数値を出していきます。
風圧力に対しても
計算をしていきます。



偏心率は建物のねじれ度合いを
図るものです。



こうしたものを根拠として
耐力壁の配置、筋交いの
配置を決めます。



ですから、耐力壁などはバランスが
必要と言われる所以はここに
あるのです。



特に吹き抜けを作る場合などは
注意が必要で横揺れに対し、
壁量の計算のみでは揺れを
詳細に計算できないので
新たに水平構面という考えが
必要になってきます。



この水平構面がとれていないと
水平方向の力に対し
揺れが大きくなってしまったりするので
構造の材料の選定、配置等のバランス、
柱、梁の肉厚の選定等が必要になってくるのです。



そのような選定には
構造計算が必要になってくる
訳です。



重心と剛心の位置までは
しっかりとした構造計算を
しないと分かりませんから、
壁量計算だけではわからないのです。




なので建築基準法で定められていない
構造計算が木造2F建てのような
小規模建築物でも必要に
なってくるのがお分かりいただけた
でしょうか。




構造計算を行うことは
基礎構造においても建物においても
必須の考えですので
住まいを新築される方は

参考になさってください。